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負荷試験コラム
2026.05.26
非常用発電機

非常用発電機の負荷試験とは?義務・方法・依頼先の資格を解説

この記事の目次

【この記事でわかること】

  • 非常用発電機の負荷試験とは何を確認する点検なのか
  • 消防法令上、負荷試験や内部観察等がどのように扱われるのか
  • 実負荷試験、模擬負荷試験、内部観察等の違い
  • 負荷試験の周期と6年に1回へ延長できる条件
  • 負荷試験を依頼する際に確認したい資格と業者選びのポイント

非常用発電機の負荷試験とは、火災や停電などの非常時に、消防用設備などへ必要な電力を供給できるかを確認する点検です。普段は使用機会が少ない発電機でも、非常時には確実な稼働が求められるため、無負荷の試運転だけでなく、負荷をかけた状態で発電能力や運転状態を確認することが重要です。

消防法令に基づく消防用設備等の点検では、自家発電設備の運転性能を、負荷運転または内部観察等で確認します。負荷運転では、擬似負荷装置や実際の設備を使って負荷をかけ、発電機が必要な時間にわたって安定して運転できるかを確認します。

負荷試験の方法には、実負荷試験、模擬負荷試験、内部観察等があります。建物の用途、停電の可否、発電機の設置場所、点検周期によって適した方法が異なるため、点検要件と現場条件を踏まえて判断する必要があります。

非常用発電機の負荷試験とは

非常用発電機の負荷試験は、非常時に発電機が必要な電力を供給できる状態かを確認するための点検です。まずは、負荷をかけて確認する意味と、無負荷運転だけでは見落としやすい点を整理します。

負荷をかけた状態で発電能力を確認する点検

非常用発電機の負荷試験は、発電機に実際の負荷または擬似的な負荷をかけ、非常時に必要な電力を供給できるかを確認する点検です。発電機は、月次点検などで始動確認をしていても、負荷がかかった状態で安定して運転できるとは限りません。

無負荷運転だけでは確認しきれないこと

そのため、負荷試験では、エンジンの回転、電圧、電流、排気、冷却、異音や振動などを確認し、非常時に消防用設備などへ電力を供給できる状態かを見ます。発電機は「動くか」だけでなく、「必要な負荷がかかった状態でも使えるか」を確認することが重要です。

非常用発電機の負荷試験サービスについては、「非常用発電機負荷試験とは」のページでも紹介しています。

非常用発電機の負荷試験は義務なのか

非常用発電機が消防用設備等の非常電源として設置されている場合、消防法令に基づく点検の対象になります。ここでは、どのような確認が求められるのか、特に負荷運転で重要になる30%以上の負荷確認とあわせて見ていきます。

消防法令に基づく点検対象になるケース

消防用設備等の非常電源として自家発電設備が設置されている場合、消防法令に基づく点検の対象になります。点検では、機器の外観や作動状況だけでなく、総合点検として運転性能を確認する項目があります。

定格出力30%以上の負荷確認が重要

自家発電設備の運転性能は、負荷運転または内部観察等により確認します。負荷運転は、擬似負荷装置や実負荷等を使って、定格回転速度および定格出力の30%以上の負荷で必要な時間連続運転し、異常がないかを確認するものです。

ただし、建物の用途や設備の種類によって必要な点検内容や報告の扱いは異なります。実際にどの方法で点検すべきかは、消防設備点検の要件、発電機の仕様、現場の運用状況を確認したうえで判断しましょう。

参考:総務省消防庁「自家発電設備の点検基準等の改正」

参考:総務省消防庁「第24 非常電源(自家発電設備)」

非常用発電機の点検基準を法律別に確認したい方は、消防法・電気事業法・建築基準法の点検基準を解説した記事もあわせてご覧ください。

非常用発電機の負荷試験の方法は3種類ある

非常用発電機の運転性能を確認する方法には、主に実負荷試験、模擬負荷試験、内部観察等があります。それぞれ実施方法や施設運用への影響が異なるため、現場条件に合わせて選ぶことが大切です。

実負荷試験

実負荷試験は、建物内の実際の設備を使って発電機に負荷をかけるため、実運用に近い状態を確認できます。一方で、施設によっては停電調整や負荷の確保が難しい場合があります。

模擬負荷試験

模擬負荷試験は、専用装置を使って発電機に負荷をかける方法です。施設内の電力供給に影響を与えにくいため、停電調整が難しい施設でも検討しやすい点が特徴です。当社では、現地条件を確認したうえで、模擬負荷試験の実施可否や必要な準備をご案内します。

内部観察等

内部観察等は、負荷運転の代替となる点検方法として位置づけられています。ただし、すべての現場で同じように選べるわけではないため、発電機の状態や点検履歴を確認したうえで判断が必要です。

実負荷試験と模擬負荷試験の違いを詳しく知りたい方は、負荷試験の種類を解説した記事でも確認できます。

負荷試験を行える資格

非常用発電機の負荷試験は、消防設備士または消防設備点検資格者の有資格者しか行えません。

ここでは、これら2つの資格の概要や消防法が定める非常用発電機の点検内容、負荷試験に関するポイント、資格に関連した消防庁からの注意喚起などについて解説します。

【負荷試験を行える資格①】消防設備士

消防設備士とは、各種消防設備の設置工事や点検整備を行うことが認められた国家資格。乙種と甲種の2種類があり、乙種は消防設備の点検・整備のみを行うことが可能で、甲種は点検・整備に加えて設備の設置や交換作業を行うことも可能です。

乙種を受験には特別な条件がありませんが、甲種の受験には「乙種に合格後2年以上の実務経験」など、条件が指定されています。甲種は乙種の上位資格になると考えて良いでしょう。

消防設備士の種類一覧表(甲種・乙種・対象設備)

消防設備士の免状は類別ごとに発行されており、取り扱える設備が異なります。

  • 甲種 特類:特殊消防用設備等(総務大臣認定の同等以上性能の設備)
  • 第1類(甲/乙):屋内消火栓、スプリンクラー、水噴霧、屋外消火栓、パッケージ型消火設備 など
  • 第2類(甲/乙):泡消火、パッケージ型消火設備、特定駐車場用泡消火 など
  • 第3類(甲/乙):不活性ガス、ハロゲン化物、粉末消火 など
  • 第4類(甲/乙):自動火災報知、ガス漏れ火災警報、消防機関へ通報する火災報知 など
  • 第5類(甲/乙):金属製避難はしご、救助袋、緩降機
  • 第6類(乙):消火器
  • 第7類(乙):漏電火災警報器

【負荷試験を行える資格②】消防設備点検資格者

消防設備点検資格者とは、消防設備の適正な維持・管理を行うことが認められた国家資格。消防設備士の有資格者で、かつ消防設備点検資格者講習を受講した人に受験資格が与えられます。消防設備士の上位資格と考えて良いでしょう。資格取得後は、5年ごとに再講習を受ける必要があります。

なお、消防設備点検資格者には第一種と第二種があり、それぞれで点検可能な設備の種類が異なります。

第1種・第2種・特種の違い

消防設備点検資格者は、消防法施行規則に基づく講習区分として第1種(主として機械系統の設備)第2種(主として電気系統の設備)、特種(特殊消防用設備等)の3つがあります。

  • 第1種:屋内消火栓、スプリンクラー、泡消火、不活性ガス消火、消火器具など(機械系統中心)
  • 第2種:自動火災報知、非常警報、排煙、非常コンセント、漏電火災警報器、避難器具など(電気系統中心)
  • 特種:特殊消防用設備等(総務大臣認定の同等以上性能の設備)

【参考】
一般財団法人消防試験研究センター「試験の方法|消防設備士試験」 
一般財団法人日本消防設備安全センター「消防設備点検資格者とは」 
総務省消防庁「負荷運転の営業活動等における不適切な情報に関する注意喚起リーフレット」

非常用発電機の点検内容に関する消防法の規定

消防法では、非常用発電機の点検義務がある施設に対し、点検基準として「機器点検」と「総合点検」を課しています。それぞれの概要を確認してみましょう。

非常用発電機の点検基準について詳しく見る

機器点検とは

機器点検とは、非常用発電機の動作確認や異音・損傷の有無、排気状況などの検査のこと。点検は無負荷の状態で行います。
機器点検は6か月に1回の頻度で行うよう求められています。

総合点検とは

総合点検とは、非常用発電機の動作状態を総合的に行う検査のこと。検査項目の中に「運転性能」があり、この項目において「負荷試験または内部観察」のどちらかを行う必要があります。
総合点検は1年に1回の頻度で行うよう求められていますが、後述する「予防的な保全策」を行っている施設については、負荷試験の実施頻度が「6年に1回」と緩和されています。

【参考】
総務省消防庁「自家発電設備の点検方法が改正されました」

負荷試験に関するポイント

消防設備士または消防設備点検資格者しか行えない負荷試験について、その概要を確認しておきましょう。

負荷試験とは

負荷試験とは、実際に非常用発電機へ負荷を掛けて、その稼働状況を確認する検査です。総合点検の際に選択される点検方法の1つで、機器点検の際に行われる無負荷試験(エンジンの空ふかしによる試験)と区別されています。

負荷試験には実負荷試験と模擬負荷試験がある

負荷試験には実負荷試験と模擬負荷試験の2種類があります。

負荷試験の種類(実負荷・模擬負荷)について詳しく解説

実負荷試験とは、非常用発電機と連動している全設備を同時に稼働させて行う試験のこと。模擬負荷試験とは、非常用発電機と連動している設備を個別で切り離して行う試験のこと。
消防法では、どちらを選択しても問題ありません。

平成30年6月1日の消防法改正により負荷試験の内容が変更に

かつて負荷試験の頻度は1年に1回とされていましたが、平成30年6月1日の消防法改正により、「予防的な保全策」を行っている施設については6年に1回の頻度へと緩和されました。

なお同改正では、負荷試験の代わりに「内部観察」を選択できる方法も追加されました。

予防的な保全策とは

予防的な保全策とは、非常用発電機の運転性能維持を目的とした定期的な機器・部品の確認・交換のこと。具体的には消防庁公式リーフレットをご参照ください。

消防庁公式リーフレット

負荷試験に関する不適切な営業勧誘に注意

負荷試験は一定の有資格者しか行うことができませんが、昨今、無資格者でも負荷試験を行えるとの内容に絡めた不適切な営業勧誘が見られているため、消防庁では強く注意喚起を行っています。

不適切な営業勧誘の主な内容は、「検査キット(数十万円)を購入すれば無資格者でも負荷試験を行える」「負荷試験を1本受注したら数十万円の収益を得られる」というもの。
繰り返しますが、負荷試験は有資格者しか行えません。不適切な営業勧誘に遭った場合には、毅然とした態度で勧誘を断りましょう。

【まとめ】負荷試験は実績豊富な信頼できる業者へ依頼を

消防法に基づく非常用発電機の負荷試験を行える2つの資格(消防設備士・消防設備点検資格者)、有資格者が行う負荷試験の概要、負荷試験に関連した不適切な営業勧誘などについて解説しました。

非常用発電機の負荷試験は、大変高度な専門性が求められる作業です。有資格者に依頼することはもちろんのこと、負荷試験の実績が豊富な信頼できる業者に依頼することが大切です。

負荷試験の実施にあたっての詳しい条件・要件については、負荷試験の実施要件まとめのページもご活用ください。

非常用発電機の負荷試験に関するよくある疑問(FAQ)

Q: 非常用発電機の負荷試験は義務ですか?

A:消防用設備等の非常電源として自家発電設備が設置されている場合、消防法令に基づく点検の対象になります。総合点検では、運転性能を負荷運転または内部観察等で確認します。対象設備や報告の扱いは建物条件によって異なるため、自施設の点検要件を確認することが大切です。

Q: 負荷試験は何年に1回必要ですか?

A:総合点検は原則として1年に1回行います。ただし、運転性能の維持に係る予防的な保全策を講じている場合、負荷運転または内部観察等の周期を6年に1回まで延長できるケースがあります。詳しくは、負荷試験の点検周期と法改正の考え方をまとめた記事もご確認ください。

Q: 実負荷試験と模擬負荷試験の違いは何ですか?

A:実負荷試験は、施設内の実際の電気設備を使って発電機に負荷をかける方法です。模擬負荷試験は、外部の模擬負荷装置を使って発電機に負荷をかける方法です。施設の運用を止めにくい場合は、模擬負荷試験を検討しやすいケースがあります。詳しくは、負荷試験の種類を解説した記事をご覧ください。

Q: 模擬負荷試験は停電せずに実施できますか?

A:模擬負荷試験は、施設側の電力供給に影響を与えにくい方法です。ただし、発電機の設置場所、接続条件、施設の電気設備の構成によって実施条件は変わります。事前に現地状況を確認したうえで、停電の要否や作業手順を判断します。

Q: 負荷試験では30%以上の負荷が必要ですか?

A:負荷運転では、擬似負荷装置や実負荷等を使い、定格回転速度および定格出力の30%以上の負荷で連続運転し、異常がないかを確認します。実際の点検方法は設備仕様や点検要件に応じて判断します。

Q: 内部観察等で負荷試験の代わりになりますか?

A:内部観察等は、負荷運転の代替方法として扱われる場合があります。ただし、すべての現場で同じように選べるわけではありません。発電機の状態、点検履歴、保全状況、所轄消防署の確認事項を踏まえて判断する必要があります。

Q: 負荷試験を依頼するときは何を確認すべきですか?

A:資格者が対応するか、実負荷試験と模擬負荷試験のどちらに対応できるか、停電の要否を説明してくれるか、点検後の報告書提出まで対応できるかを確認しましょう。施工実績を見たい方は、負荷試験の施工事例もご覧ください。

Q: 電気工事士は非常用発電機の負荷試験を行えますか?

A:一定の防火対象物では、消防設備士または消防設備点検資格者に点検をさせる必要があり、電気工事士免状のみではその要件を満たしません。 また、負荷運転等は「必要な知識及び技能を有する者」が実施するのが適当とされています。

Q: 建物の管理者が自分で負荷試験を行うことはできますか?

A:建物管理者であっても、(当該建物で要求される)点検資格を満たすなら実施可能です。 一方、一定の防火対象物では有資格者に点検させる必要があるため、無資格の管理者が単独で実施しても要件充足になりません。

Q: 資格のない業者に負荷試験を依頼してしまった場合、どうすればよいですか?

A:まず当該建物が「有資格者に点検させる必要がある防火対象物」に該当するか確認し、該当するなら要件を満たす有資格者で点検をやり直すのが安全です。 取り扱いに迷う場合は所轄消防署へ相談してください。

著者

日本負荷試験テクノ株式会社

営業部 主任

市岡洸

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