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負荷試験コラム
2026.07.30
非常用発電機

非常用発電機の負荷試験は免除できる?6年周期の条件を解説

この記事の目次

【この記事でわかること】
・非常用発電機の点検全体が免除されるわけではない理由
・負荷運転または内部観察等の周期を6年に延長できる条件
・製造年または前回の負荷運転等から判断する6年の起算点
・予防的な保全策と内部観察等の違い
・点検記録や添付書類で残しておきたい内容

「非常用発電機の負荷試験」は、消防法令上の「負荷運転」を指す一般的な呼び方です。「条件を満たせば6年間免除される」と説明されることがありますが、点検全体が免除されるわけではありません。2018年6月1日の消防庁告示・通知改正で見直されたのは、負荷運転または内部観察等の実施周期です。対象設備、前回の実施時期、毎年の保全状況、記録を順番に確認しないと、6年周期に該当するかは判断できません。

「負荷試験の免除」は点検全体の免除ではない

最初に押さえたいのは、法令上の点検と、総合点検の一項目である運転性能の確認を分けて考えることです。消防用設備等の非常電源として設けられた自家発電設備は、機器点検と総合点検の対象です。「負荷試験が免除される」という言い方だけを受け取ると、年ごとの点検や報告まで不要になったように見えますが、その理解は正しくありません。

機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回

消防庁の点検報告制度では、機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回です。負荷運転または内部観察等を6年周期にできる場合でも、この点検体系は続きます。

点検結果は維持台帳に記録する必要があります。消防長または消防署長への報告周期は、特定防火対象物が1年に1回、それ以外が3年に1回です。建物の用途や規模によって点検実施者の要件も変わるため、設備単体ではなく防火対象物としての条件も確認が必要です。

参考:総務省消防庁「消防用設備等点検報告制度について」

6年周期になるのは運転性能を確認する項目

2018年の見直し後、自家発電設備の運転性能は、原則として負荷運転または内部観察等による確認の対象です。ただし、製造年または前回の運転性能に係る点検から6年を経過しておらず、運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合は、その間の運転性能に係る点検を実施しない扱いが認められます。

したがって、「負荷試験を6年間しなくてよい」という一文だけでは条件が足りません。毎年の点検、必要な部品交換、記録、報告は続きます。前提を満たさなくなった場合や、6年が経過した場合には、負荷運転または内部観察等による確認が必要です。

2018年の見直しで変わった4つの点

2018年6月1日に行われたのは、消防法そのものの新設ではなく、消防庁告示と点検要領に関する通知の改正です。

負荷運転の代わりに内部観察等を選べるようになった

運転性能の確認方法は、それまでの負荷運転に加えて「内部観察等」が規定されました。内部観察等の確認項目には、過給器や排気管の内部観察、燃料噴射弁等の動作確認、シリンダ摺動面の内部観察、潤滑油と冷却水の成分分析があります。負荷運転を省略するための簡易点検ではなく、別の方法で運転性能を確認する選択肢です。

予防的な保全策があれば周期を6年に延長できる

負荷運転または内部観察等は、運転性能の維持に係る予防的な保全策を講じている場合、6年に1回まで周期を延長できます。毎年何もしなくてよい制度ではなく、始動補助装置といった対象の確認と、製造者が設定した推奨交換期間内での部品交換を続けることが前提です。

ガスタービンを原動力とする設備は負荷運転が不要になった

原動機にガスタービンを用いる自家発電設備は、改正後、負荷運転の対象から外れました。ただし、ガスタービン式だから自家発電設備に関する点検がすべて不要になるわけではありません。機器点検、総合点検のほかの項目、記録、報告は引き続き必要です。

換気性能は無負荷運転時等に確認する扱いになった

改正前は負荷運転時に換気性能を確認していましたが、改正後は無負荷運転時等に、自然換気口や機械換気装置の状態を確認する方法へ変更されました。これも負荷運転の周期延長とは別の改正点です。

参考:総務省消防庁「消防予第372号 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式の一部を改正する件の公布について」

6年周期を選べるかは5つの順番で確認する

負荷運転を毎年実施するか、予防的な保全策を続けながら6年周期にするかは、費用だけで決められません。設備の方式、製造年、過去の点検、保全記録を並べると、自施設で確認すべき点が見えやすくなります。

判定フロー

  1. 自家発電設備が消防用設備等の非常電源として設けられているか
  2. 原動機がガスタービンか、それ以外の内燃機関(ディーゼルエンジン、ガスエンジン等)か
  3. 製造年、前回の負荷運転、前回の内部観察等の年月を確認できるか
  4. 毎年確認する項目と、推奨交換期間内に交換する部品の記録があるか
  5. 6年の期限までに負荷運転または内部観察等のどちらを行うか決められているか

ガスタービン式であれば負荷運転は不要ですが、ほかの点検まで外れるわけではありません。ガスタービン以外で予防的な保全策の記録がない場合は、「6年周期」とだけ判断せず、過去の点検状況を点検業者や所轄消防署と確認してください。

「前回の記録がない」は判断を止める理由になる

古い設備では、製造年や前回の負荷運転年月が台帳にないことがあります。6年の起算点を裏付けられないまま、設置からまだ6年以内だろうと推測することはできません。点検票、過去の報告書、整備記録、製造銘板、メーカー資料を照合し、不明点を切り分けておきましょう。

6年の起算点は製造年または前回の点検

「設置してから6年」「改正から6年」という覚え方では、設備によって起算点がずれます。消防予第372号では、製造時期と過去の負荷運転の時期に応じた経過措置が示されています。

製造年を起算点にする場合

2017年6月以降に製造された自家発電設備は、予防的な保全策を講じることで、製造年から6年を経過するまで運転性能に係る点検を実施しないことができます。基準は設置日ではなく製造年です。竣工資料や銘板で製造年を確認し、毎年の保全記録をそろえておきましょう。

2017年5月以前に製造された設備でも、製造年以降に予防的な保全策を講じていたことを過去の記録等で確認できる場合は、製造年から6年を経過するまで同じ扱いが可能です。後からまとめて部品を交換しただけでは、過去の保全を実施していた証明にはなりません。

前回の負荷運転等を起算点にする場合

2017年6月以降に負荷運転を実施した設備は、その負荷運転後に予防的な保全策を継続することで、実施から6年を経過するまで運転性能に係る点検を行わない扱いが可能です。2017年5月以前の実施であっても、その後の保全を過去の記録等で確認できれば同様に扱えます。

内部観察等を実施した場合も、以後はその実施から6年が経過するまでに、次の負荷運転または内部観察等を計画しましょう。周期と3つの選択肢は、非常用発電機の負荷試験は6年に1回で大丈夫?法改正の内容と点検周期の考え方で確認できます。

予防的な保全策と内部観察等は別のもの

この二つを同じ「負荷試験の代替」と捉えると、点検計画を誤りやすくなります。内部観察等は運転性能を確認する点検方法であり、予防的な保全策は、その点検周期を6年に延長するために継続する確認・交換です。

予防的な保全策は毎年の確認と期限内の部品交換

設けられている場合に1年ごとに確認するのは、予熱栓、点火栓、冷却水ヒータ、潤滑油プライミングポンプです。交換対象には、潤滑油、冷却水、燃料フィルター、潤滑油フィルター、ファン駆動用Vベルト、冷却水用等のゴムホース、各系統や外箱等に用いられるシール材、始動用の蓄電池があります。交換時期は一律ではなく、製造者が設定する推奨交換期間等に従います。

内部観察等は複数項目を満たす運転性能の確認

内部観察等は、内部を目視するだけでは完了しません。所定の方法による確認対象は、過給器や排気管の内部、燃料噴射弁等の動作、シリンダ摺動面、潤滑油と冷却水の成分です。消防庁の質疑応答では、潤滑油や冷却水を交換しただけでは、成分分析による内部観察等を行ったことにはならないと示されています。

参考:総務省消防庁「消防予第373号 消防用設備等の点検要領の一部改正について」

6年周期を裏付ける記録と書類

予防的な保全策は、実施した事実だけでなく、点検時に確認できる形で残す必要があります。担当者が変わっても起算点と次回期限を追えるように、点検票、整備記録、メーカー資料を同じ台帳で管理しましょう。

最低限そろえたい記録

・製造年と型式を確認できる資料
・前回の負荷運転または内部観察等の実施年月と結果
・毎年確認した始動補助装置等の結果
・交換した部品、交換日、次回の推奨交換期限
・製造者の推奨交換期間を確認できる資料
・不具合と修繕の履歴

点検票の備考欄と添付書類を確認する

運転性能に係る点検を6年周期に延長する場合、別記様式第24(その3)の備考欄への最終実施年月の記載と、予防的な保全策を講じていることを示す書類の添付が必要です。運転性能に係る点検を実施した年は添付を省略できますが、その年も保全策を続けるのが望ましい運用です。

参考:総務省消防庁「消防予第528号 消防用設備等に係る執務資料の送付について」

消防庁の点検要領は、運転性能の確認を必要な知識と技能を持つ者が行い、点検結果の詳細データ等を示す書類を添付することが望ましいとしています。なお、一定の防火対象物では、消防設備士または消防設備点検資格者に消防用設備等の点検を行わせる義務があります。負荷運転だけに一律の専用資格が設けられているという意味ではないため、建物の用途・規模と点検範囲を確認してください。依頼先の選定前に、非常用発電機の負荷試験を依頼するときに確認したい資格と業者選びもご活用ください。

参考:総務省消防庁「消防予第373号 消防用設備等の点検要領の一部改正について」

負荷試験の免除で起きやすい勘違い

制度の言葉を短くしすぎると、点検漏れや書類不足につながります。施設管理で迷いやすい点は、次の4つです。

Q. 予防的な保全策を始めれば、その日から6年間は何もしなくてよいですか?

A. 何もしなくてよいわけではありません。機器点検と総合点検は所定の周期で続け、予防的な保全策として年ごとの確認と推奨交換期間内の部品交換を行う必要があります。6年の起算点は、保全を始めた日ではなく、製造年または前回の負荷運転・内部観察等の実施時期から判断しましょう。

Q. 無負荷運転をしていれば負荷運転の代わりになりますか?

A. 無負荷運転だけで運転性能に係る点検を終えた扱いにはなりません。ガスタービン式を除く設備では、負荷運転または内部観察等が必要です。予防的な保全策を講じている場合は、その実施周期を6年に延長できます。

Q. ガスタービン式なら点検も報告も不要ですか?

A. 不要になるのは負荷運転です。自家発電設備に関するほかの点検項目や、点検結果の記録・報告まで免除されるわけではありません。

Q. 部品を一度に交換すれば過去の保全記録がなくても6年周期にできますか?

A. 古い設備や過去の負荷運転を起算点にする場合、予防的な保全策を継続していたことを過去の記録等で確認できる必要があります。現在の交換作業だけで、過去の実施状況を補うことはできません。過去記録で条件を確認できない場合は、所轄消防署や点検業者へ相談し、必要な負荷運転または内部観察等を実施したうえで、その実施を新たな起算点として予防的な保全策を継続する計画を立てましょう。

自施設の起算点と点検方法を確認してから計画を立てる

負荷試験は、単純に「毎年」か「6年ごと」かを選ぶものではありません。まず点検全体を継続することを押さえ、原動機の方式、製造年、前回の負荷運転または内部観察等、予防的な保全策の記録まで照合したうえで、次の期限までにどの方法で運転性能を確認するかを決めておきましょう。

当社では、ヒアリングと現地調査後、施設の電力供給に影響を与えにくい模擬負荷試験を行います。定格出力の30%以上まで段階的に負荷をかけ、試験後は1週間以内を目安に報告書を提出します。全国対応です。点検履歴や次回期限がわからない場合も、手元の点検票や設備資料をそろえてご相談ください。

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著者

日本負荷試験テクノ株式会社

営業部 課長

能又浩一

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