非常用発電機の設置基準には、電気事業法・消防法・建築基準法の3つの法令が大きくかかわっています。
それぞれの法律では、対象となる発電機や施設、届出の内容、点検サイクルなどが異なります。
そのため、自社で設置する非常用発電機に応じて適切な対応をする必要があります。
ここでは、それぞれの法律に基づく非常用発電機の規定について確認していきましょう。
この記事の目次
電気事業法の規定
電気事業法では、発電機を「電気工作物」としています。電気工作物を設置した人は、正しい状態で運用・維持・管理しなければなりません。
条件を満たした発電機ならば、非常用だけではなく常用の発電機も電気工作物です。
対象となる非常用発電機・設備
エンジンを搭載する発電機で、10kw以上のものが電気事業法の電気工作物として点検対象になります。ガスタービン式の発電機は、すべてが点検対象です。
届出
主任技術者選任届
電気主任技術者を選任して届出をする必要があります。電気主任技術者とは、電気工作物の保安の監督をする専門家です。
保安規定届
電気工作物の保管をするため、保安規定を定めて届出をする必要があります。
点検サイクル
月次点検
発電機と励磁装置の外観の異常の有無を、月に1回の頻度で確認します。
年次点検
自動起動の状態、自動停止装置、部品の接続状態、部品と地面の設置状態などに異常がないかどうかを確認します。
消防法の規定
消防法では、消防設備の非常電源としての非常用発電機の規制があります。災害で停電した時などに、非常用発電機が動かなければ、消火栓やスプリンクラーも動かなくなるからです。
対象となる非常用発電機・設備
不特定多数が出入りする施設(学校や病院、工場、百貨店、映画館など)には、消防設備を設置する義務があります。停電時に消防設備が動くよう、防災用非常用発電機などの設置が必要です。
届出
工事整備対象設備等着工届
発電機の設置工事をはじめる10日前までに、仕様書や平面図などと一緒に工事整備対象設備等着工届を所轄の消防署へ提出します。
消防用設備等設置届
消防設備と非常用発電機を連動させる場合には、消防用設備等設置届とあわせて、非常電源(自家発電設備)試験結果報告書を添付して所轄の消防署へ提出します。
電気設備設置届
非常用発電機の保安を監督させるため、電気主任技術者を選任して届出をします。
危険物貯蔵所設置許可申請
非常用発電機の燃料を一定量以上取り扱う場合には、市町村長・都道府県知事・総務大臣などに申請して許可を受ける必要があります。
一定量以下の取り扱いの場合には、少量危険物設置届を提出します。
点検サイクル
法定点検
年に2回、法定点検をします。
機器点検
6か月に1回、機器点検をします。設備が正常に動くかどうか、機器に損傷がないかなどを点検します。
総合点検
1年に1回、非常用発電機の負荷試験を行います。6年に1回でも構いませんが、その場合には、他の5年間、毎年予防的な保全策を行う必要があります。
消防用設備等の点検報告制度について
消防用設備等の点検報告制度とは、消防に関連した設備を定期的に点検し、点検結果を消防署長などに報告する制度です。昭和49年の消防法改正によって設けられました。
消防整備士や消防設備点検資格者などが点検をします。
防災用非常用発電機の容量は一般用非常発電機と異なる
防災用非常用発電機は、災害時、連動しているすべての消火設備を動かす必要があります。そのため、一般用非常用発電機に比べて大きな容量が求められていることを理解しておきましょう。
例えば、防災用非常用発電機が消火栓、スプリンクラー、非常用エレベーターのすべてと連動している場合、発電機を運転させた時に、3つすべての設備を同時に動かせる容量が必要となります。
容量の選定については、消防法で定められている計算式で行います。
建築基準法の規定
建築基準法では、常に建物を適法な状態に維持するよう建物の所有者に求めています。建物に非常用発電機を設置する場合には、非常用発電機もその対象になります。
対象となる非常用発電機・設備
エンジンを搭載する発電機で、10kw以上のものが電気事業法の電気工作物として点検対象になります。ガスタービン式の発電機は、すべてが点検対象です。
届出
建築確認申請
建築確認が必要な建物に非常用発電機を設置する場合には、建築主事または指定確認検査機関の審査を受けなければなりません。
そのため、建築確認申請書に非常用発電機の関係図書を添付して提出する必要があります。
完了検査申請
建築工事が完了した際に完了検査が必要な場合には、完了検査申請にあわせて、非常用発電機に関する試験結果や検査記録などの提出を求められることがあります。
大気汚染防止法に関連する規定・届出について
大気汚染防止法では、ばい煙発生施設(一定レベルの煙を発生させる施設)に対して規制を設けています。
非常用発電機も一定の条件を満たした場合には、ばい煙発生施設とされて規制の対象となります。
非常用発電機の規定
燃料の燃焼能力が重油換算で1時間あたり35リットル以上の非常用発電機は、大気汚染防止法のばい煙発生施設となります。
届出
非常用発電機がばい煙発生施設となる場合には、発電機を設置する60日前までに、所轄の都道府県知事へばい煙発生施設の設置を届け出なければなりません。
非常用発電機の点検に関するご相談を承っております
非常用発電機に関連する法令や設置基準、届出などについてご紹介しました。
平成30年6月1日の消防法改正により、非常用発電機の点検義務の決まりが変更になっています。
点検方法として、いくつかの選択肢から選ぶことができますが、どの選択肢が自社の発電機に合っているか、分からない方もいるでしょう。
当社、日本負荷試験テクノ株式会社は、非常用発電機の負荷試験を専門的に行っております。点検に関してご不明な点やご質問などがございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。