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負荷試験コラム
2026.03.30
非常用発電機

BCP(事業継続計画)対策に発電機設置の重要性とは?

この記事の目次

東日本大震災や熊本地震などはもとより、近年は大型台風や豪雨などの影響による大災害が、日本各地で発生しています。
これら大災害に直面した際でも企業が中核事業の継続を図れるよう、政府ではBCP対策の積極的な推進を啓蒙中。中でも特に重要な対策の1つが、非常用発電機の設置と言われています。

ここでは、国内で実際に発生した長期間停電の事例、停電による企業活動への影響(非常用発電機の重要性)、停電の一因となる自然災害の発生状況などについて解説しています。

災害による長期間停電は他人事でない

自然災害を原因とした長期間停電の事例として、多くの方が思い浮かべる事例が東日本大震災でしょう。いわゆる計画停電も実行されるなど、東北以外の場所でも広く停電の影響を受けた事例でした。

しかし、東日本大震災のような大規模停電とはタイプが異なるものの、同様に長期間にわたる長期間の停電事例は、国内でたびたび発生しています。近年では、次のような事例が挙げられるでしょう。

  • 西日本豪雨(2018年6月18日)…最大1週間の停電
  • 九州で発生した豪雨(2019年8月27日)…最大15時間の停電
  • 台風15号(2019年9月5日)…最大3週間の停電
  • 台風19号(2019年10月6日)…最大2週間の停電
  • 九州で発生した豪雨(2020年7月3日)…最大5日間の停電

また、大規模災害を原因とした停電以外にも、毎日のように日本の多くの場所で停電が発生しています。
例えば、東京電力の公式HPでは毎日の停電発生状況を公表していますが、本稿を執筆中の2023年8月22日17:30現在、同日の停電発生状況は次の通りとなっています。

11:28…設備トラブルにより約340軒が停電(埼玉県さいたま市)
11:41…設備の作業ミスにより約940軒が停電(群馬県安中市)
11:44…原因不明により約710軒が停電(埼玉県朝霞市)
13:06…雷の影響により約670軒が停電(神奈川県川崎市)
16:05…設備への樹木等の接触により約120軒が停電(千葉県野田市)
16:46…雷の影響により約860軒が停電(埼玉県さいたま市)
16:47…原因不明により10軒未満が停電(埼玉県さいたま市)
16:47…原因不明により10軒未満が停電(埼玉県さいたま市)
16:47…原因不明による約860軒が停電(埼玉県春日部市)
17:17…原因不明により10軒未満が停電(埼玉県入間市)
17:17…原因不明により10軒未満が停電(埼玉県所沢市)

明らかな自然災害が発生していなくても、停電は、いつでもどこでも発生する可能性があります。

企業で停電が発生すると何が困るのか?非常用発電機の重要性

上記のような停電が営業中に発生した場合、企業活動にはどのような影響が生じるのでしょうか?以下に主な影響をご紹介しますが、これら影響を見れば、非常用発電機の重要性を十分に理解できるでしょう。

生産ラインの停止

各種機械の製造ラインや食品等の生産ラインが停止。業務がストップします。

消防設備の不稼働

電力を要する消防設備を設置している場合、消防設備が稼働せず火災による延焼が広がる恐れもあります。

冷蔵庫・冷凍庫の停止

冷蔵庫・冷凍庫が停止し、冷蔵保管・冷凍保管の必要な商品が劣化します。

通信困難

電力不足の影響等で通信が困難となり、従業員への的確な指示や従業員の安否確認、取引先との連絡ができなくなる可能性もあります。

パソコンのシャットダウン

バッテリーを搭載していないデスクトップパソコンの場合は作業ができなくなる可能性があります。
ローカルに保存予定だった重要なデータが消滅するかもしれません。

照明のダウン

照明がダウンし、場所によっては日中にも関わらず屋内が真っ暗になる可能性があります。人の多く集まる施設では混乱が生じるかもしれません。

エレベーター・エスカレーターの停止

エレベーターやエスカレーターが停止し、施設内での上下移動が非効率になる可能性もあります。

冷暖房の停止

冷暖房が停止し、屋内環境が悪化します。真夏に冷房が停止すれば、熱中症を発症する恐れがあるので危険です。

トイレを使用できない

電力を必要とする水洗トイレ(タンクレストイレなど)を設置している場合、トイレを使用できなくなる恐れがあります。

医療機器の停止

医療機関や介護施設等が長期間にわたって停電すれば、人工呼吸器などの医療機器が停止する恐れもあります。

これらの緊急事態に際し、可能な限り被害を抑えるための設備が非常用発電機。災害拠点病院や介護施設などではBCP策定が義務付けられていますが、それら以外の施設においても、非常用発電機の設置をはじめとしたBCPの策定は急務と言えます。

停電の大きな要因となる自然災害は増えている

「昔に比べて自然災害が増えてきた」という感覚をお持ちの方もいるかもしれませんが、この感覚は錯覚ではありません。実際にデータ上でも、近年の日本における自然災害の発生件数は増加しています。
「国土交通白書2020」(国土交通省)から、災害発生件数に関する同省のコメントを引用します。

大雨や短時間強雨の発生推移

我が国では、洪水や土砂災害を引き起こす大雨や短時間強雨の回数が増加している。大雨について、日降水量が200mm以上となる年間の日数を「1901年から1930年」と「1990年から2019年」で比較すると、直近の30年間は約1.7倍の日数となっており、長期的に増加している。また短時間強雨について、1時間降水量が50mm以上となる年間の回数を「1976年から1985年」と「2010年から2019年」で比較すると、直近の10年間は約1.4倍の発生回数となっており、同様に長期的に増加している。
引用元:国土交通省|国土交通白書2020

土砂災害の発生状況

雨の降り方に関連して、土砂災害の発生回数も近年増加傾向にある。2018年(平成30年)は過去最多の3,459件、2019年も1,996件と非常に多くの土砂災害が発生している。
引用元:国土交通省|国土交通白書2020

国内での自然災害発生件数が増えている背景として、国土交通省では日本特有の国土条件等に加え、地球温暖化の影響も挙げています。
背景が何であれ、自然災害の発生件数が増えていることは事実。自然災害の発生件数は、概ね停電の発生件数に比例するのではないでしょうか。

BCPに非常用発電機を組み込むための基本ステップ

BCPに非常用発電機を組み込む際は、単に設備を購入するだけでなく、計画的なプロセスを踏むことが重要です。ここでは、事業継続計画に電源確保策を盛り込むための基本ステップを紹介します。

ステップ1:リスク分析と影響度の評価

まず自社が直面しうるリスク(地震、台風、洪水など)を洗い出し、停電が発生した場合に事業へどのような影響が及ぶかを評価します。拠点ごとの立地条件やインフラ環境も踏まえ、被害想定を具体的に行うことがポイントです。

ステップ2:優先業務の特定と必要電力の算出

すべての業務を同時に復旧させることは現実的ではありません。停電時に最優先で維持すべき業務(安否確認、基幹システム、重要設備の稼働など)を特定し、それらに必要な電力量を算出します。この段階で、消費電力だけでなく起動電力も考慮に入れることが大切です。

ステップ3:対策の立案と発電機の選定

必要電力が明らかになったら、それに見合った非常用発電機の容量や台数を検討します。ディーゼル式やガスタービン式などの種類、燃料の種類と備蓄量、設置場所の条件なども合わせて検討してください。

ステップ4:計画の策定と文書化

発電機の導入だけでなく、発災時の起動手順、燃料の補給計画、担当者の役割分担、連絡体制などを文書化します。計画が紙の上だけの存在にならないよう、関係者全員が内容を把握しておくことが重要です。

ステップ5:訓練の実施と定期的な見直し

策定した計画は、定期的な訓練を通じて実効性を検証します。実際に非常用発電機を起動させる訓練を行うことで、手順の不備や機器の不具合を事前に発見できます。また、組織体制の変更や設備の更新に合わせて、BCPそのものを見直すことも欠かせません。

非常用発電機の負荷試験に関する情報はこちら

非常用発電機の選定で押さえるべきポイント

BCPの実効性を高めるには、自社の条件に合った非常用発電機を選定することが欠かせません。ここでは、選定時に確認すべき主な項目を整理します。

容量と出力の確認

非常用発電機を選ぶ際にまず確認すべきは、停電時に稼働させたい設備の合計電力に対して十分な出力があるかどうかです。とくにモーターを搭載する設備(空調、エレベーター、冷凍機など)は、起動時に通常運転時より大きな電力を必要とする場合があるため、定格消費電力だけでなく始動時の条件も踏まえて余裕を持った容量設計を行うことが重要です。

燃料の種類と備蓄の計画

非常用発電設備は、原動機の種類や使用燃料、必要出力、設置条件によって適した方式が異なります。たとえばディーゼル式は汎用性が高く長時間運転に向く一方、燃料の備蓄管理が必要です。軽油などの燃料備蓄は消防法等の規制対象となるため、備蓄計画と合わせて確認してください。

たとえば方式ごとの特徴は、次のように整理できます。

・ディーゼル式
小〜大容量まで対応しやすく、非常用電源として広く採用されています。検討時には、燃料備蓄、設置スペース、騒音対策などを確認することが重要です。

・ガスタービン式
中〜大容量向きで、振動や排気への配慮がしやすい傾向があります。導入条件、使用する燃料種別、保守体制などを事前に確認する必要があります。

設置場所と法令への対応

非常用発電機は、消防法や建築基準法などの関係法令を踏まえて設置する必要があります。浸水リスクのある場所を避けることはもちろん、排気や騒音への配慮、燃料配管の安全対策なども重要な検討事項です。総務省の調査でも、非常用発電設備が浸水や地震により稼働しなかった事例が報告されており、設置場所の選定はBCPの成否に直結します。

参考:総務省「地方公共団体のBCPの実効性に関する調査(非常用発電設備等に係るもの)」

「設置して終わり」にしない:負荷試験の必要性

非常用発電機を設置しても、定期的な点検と負荷試験を行わなければ、いざという時に正常に稼働しないリスクがあります。経済産業省も、点検未実施により不具合を把握できず、被災時に非常用予備発電装置が動作しなかった事例が発生していると注意喚起しています。

なぜ負荷試験が必要なのか

非常用発電機は普段ほとんど使用されないため、長期間の待機状態により内部にカーボン(未燃焼燃料の堆積物)が蓄積します。この状態では、緊急時に定格出力を発揮できないおそれがあります。負荷試験は、実際に発電機へ負荷をかけて運転することで、エンジンや発電機本体の性能を確認し、カーボンの蓄積を除去する効果もあります。

消防法に基づく点検基準

消防用設備に接続された自家発電設備には、定期的な点検が義務付けられています。総務省消防庁は2018年に自家発電設備の点検基準を改正し、負荷運転または内部観察等によって発電設備の性能を確認する方法を明確化しました。機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回行うことが基本で、運転性能の確認については、予防的な保全策を講じている場合に限り、負荷運転または内部観察等の周期を6年に1回とする運用が認められています。点検結果は記録・保管が必要です。

参考:総務省消防庁「自家発電設備の点検基準等の改正」

模擬負荷試験という選択肢

負荷試験には、建物内の設備を使う「実負荷試験」と、外部の模擬負荷装置を接続して行う「模擬負荷試験」があります。模擬負荷試験は施設全体の電力供給を停止せずに実施しやすいため、病院やデータセンターなど計画停止の調整が難しい施設でも採用を検討しやすい方法です。当社では、全国対応で模擬負荷試験を実施しており、ヒアリングから試験実施、報告書の提出までをワンストップでご対応しています。

BCPに発電機を組み込む際のチェックポイント

BCPに非常用発電機を組み込む際に確認したいポイントを、実務で見直しやすい形で整理しました。自社の対策状況の確認にご活用ください。

1. リスク分析

自社拠点における停電リスク(地震、台風、浸水など)を評価しているか確認します。

2. 優先業務の特定

停電時に最優先で維持する業務を整理し、それに必要な電力を算出しているか確認します。

3. 発電機の容量

必要電力に対して十分な出力があるか、起動時の条件も含めて確認します。

4. 燃料の備蓄

発災初動に対応できる燃料量を確保し、不足時の補給体制も想定できているか確認します。

5. 設置場所

浸水リスクのない場所に設置し、消防法などの基準を満たしているか確認します。

6. 起動手順

発災時の起動手順と担当者の役割を文書化し、関係者へ周知しているか確認します。

7. 燃料補給計画

燃料が不足した場合の補給手段や調達先を確保しているか確認します。

8. 定期点検

法定点検の周期に沿って、機器点検や総合点検を実施しているか確認します。

9. 負荷試験

消防法に基づく負荷運転または内部観察等を実施しているか確認します。

10. 訓練の実施

発電機の起動手順を含むBCP訓練や見直しを定期的に実施しているか確認します。

11. 計画の見直し

組織変更や設備更新があった際に、BCPの内容を見直しているか確認します。

このチェックリストをもとに、自社のBCPにおける電源確保対策の漏れがないかを定期的に確認することをおすすめします。

BCP対策を実効あるものにするために

BCP対策として非常用発電機を導入することは、停電時の事業継続に向けた大きな一歩です。しかし、発電機は「設置したら終わり」ではありません。定期的な負荷試験と保守点検を行い、いつでも確実に稼働できる状態を維持してこそ、BCPは実効性を持ちます。

当社では、非常用発電機の模擬負荷試験をはじめ、保守点検、修理・整備、更新・新設まで幅広く対応しています。模擬負荷試験は施設の停電を伴わないため、通常の営業活動を続けながら点検が可能です。全国の拠点から対応しておりますので、非常用発電機の点検や負荷試験についてお困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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著者

日本負荷試験テクノ株式会社

営業部 次長

備瀬元博

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