非常用発電機とUPS(無停電電源装置)の違いとは?

非常用発電機

非常用発電機と似た働きをする機器として比較されることの多いUPS(無停電電源装置)。どちらも停電時に非常用の電源を供給してくれる機器ですが、両者にはいくつかの違いがあります。
ここでは、非常用発電機とUPSの主な違いについて確認してみましょう。

UPS(無停電電源装置)とは?

UPS(無停電電源装置)とは、蓄電されたバッテリーから電力を供給する機器のこと。非常用発電機と目的は似ていますが、機器自体に自己発電システムが搭載されていない点で、非常用発電機とは大きく異なります。

一般的に、非常用発電機は長時間の停電に適していると言われていますが、UPSは、いわゆる「瞬停」のような短時間で不安定な停電に適していると言われています。そのため、例えば瞬停で大事なデータが失われる可能性のあるパソコンや、瞬停で稼働がリセットされる恐れのある医療装置などにおいては、UPSの特性が大きく活かされます。

以下、非常用発電機とUPSの主な違いを5点ほど見てみましょう。

非常用発電機とUPSの4つの違い

停電から電源供給に切り替わるまでの時間が違う

非常用発電機の場合、停電から電源供給が始まるまでに要する時間は、約10~40秒。
一方でUPSの場合、停電から電源供給が始まるまでの間に要する時間は、わずか数ミリ秒。停電とほぼ同時に給電が始まる感覚です。

例えば、パソコンで何らかの入力作業を行っている最中に停電が発生した場合、クラウドにデータがリアルタイム保存されるシステムならば、非常用発電機しかなくてもデータ損傷を最小限に抑えられるでしょう。しかしながら、ローカルで入力作業を行っている最中に停電が発生した場合、非常用発電機のみではデータの多くを失う恐れがあります。

電力の供給方式が違う

非常用発電機は、機器に搭載された燃料で稼働させ、自己発電して電力を供給するシステムです。一方でUPSは、あらかじめ内臓バッテリーに蓄電されている電力を供給するシステムです。
自己発電ができるかできないかという点で、両者には非常に大きな違いがあります。

電源供給できる時間の長さが違う

非常用発電機の場合、自己発電のための燃料が切れるまで電力の供給が可能です。非常用発電機の燃料は軽油やガスなど。あらかじめ十分な備蓄があれば、何日でも電源供給することが可能です。

一方で、UPSの場合には、蓄電された電力を使い果たせば給電が停止。多くの場合、数分から数時間で給電できなくなります。停電から復旧するまでの間、バッテリーには充電できないため、非常用電源としては頼りない感が否めません。

なお、東日本大震災が発生した際、東北電力エリアの停電復旧率が94%になるまでに、実に8日間を要しました。非常用電源ならば、理論的には燃料備蓄があれば何日でも電源供給できますが、消防法の規定により大量の備蓄ができないこともあります。非常用発電機を設置する施設では備蓄分だけに頼らず、あらかじめ非常時に燃料を確保できるルートを構築しておくことが大切です。

電気容量の大きさが違う

非常用発電機は電気の容量が大きいため、工場の大きな機械を動かしたり、倉庫の冷凍機能を維持したりすることも可能です。
一方でUPSは電気の容量が小さいため、非常用発電機のような働きは期待できません。パソコンをはじめとした小電力機器を動かす程度の容量しかないと理解しておきましょう。

主な使い道が違う

電源供給できる時間の長さや電気容量が違う以上、両者の使い道も大きく異なります。
上述の通り非常用発電機は、工場の機械や倉庫の冷凍庫を長時間稼働させることが可能です。東日本大震災のような極端な停電でなければ、停電が復旧するまで企業活動を停止せずに済むかもしれません。

一方でUPSは、大きな機器を長時間稼働させることができません。一般的には、パソコンや通信機器の瞬間的なシャットダウンを防ぐ目的で利用されます。
どちらも停電時の強い味方ですが、電源供給の目的に照らして適切なほうを選ぶ必要があります。

【まとめ】非常用発電機とUPSを両方設置しておくことが理想

非常用発電機とUPSの主な違いをご紹介しました。

非常用発電機は、電源供給までに数十秒のタイムラグがあるものの、燃料切れになるまで長時間にわたり電源を作り出します。一方でUPSは、長時間の電源供給は期待できないものの、停電発生とほぼ同時に電源供給が始まります。どちらも停電時には頼もしい装置となりますが、それぞれの特性が異なることは理解しておきましょう。
非常時の停電に備え、非常用発電機とUPSの両方を用意しておくようおすすめします。

著者
市岡洸

日本負荷試験テクノ株式会社

営業部 主任

市岡洸

発電機の困った!を解決!緊急対応は24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

関連記事