非常用発電機に騒音対策は必要?騒音規制値とは?

非常用発電機

非常用発電機の動作時、大なり小なり騒音が発生します。機種によっては公害レベルの騒音を発生させることもあるため、状況に応じて適切な騒音対策が必要です。

ここでは、非常用発電機から発生する騒音の種類と騒音のレベル、非常用発電機の騒音対策の方法などについて解説します。

非常用発電機から発生する騒音の種類

非常用発電機から発生する騒音は、主に以下の4つに分類されます。「機械の動作から直接発せられる騒音」「吸排気から発せられる騒音」「建物を伝わってくる騒音」「低周波による騒音」の4種類があります。それぞれの概要を確認しましょう。

機械の動作で生じる騒音

燃料ポンプやピストンなどによる衝撃音、燃焼による筒の壁面からの音など、機械の動作そのものから生じる騒音があります。非常用発電機から生じる最も大きな騒音原因です。

吸排気から生じる騒音

燃焼から生じる排気、機械を冷やすための吸気など、吸排気の機能から生じる騒音があります。吸排気音を抑えるための消音器も用意されていますが、やや高いコストが掛かることから設置は進んでいません。

建物を伝わってくる騒音

非常用発電機から生じる振動が建物に伝わり、建物自体が振動を起こして機械とは別途の騒音を発生させます。振動は建物全体に伝わるため、騒音も広範囲に生じます。
建物に対策を施すのではなく、振動の発生源となる非常用発電機に対策を施す必要があるでしょう。

低周波による騒音

一般的に、人が聞くことのできる音の周波数の下限は20Hz(ヘルツ)と言われていますが、ちょうど20Hz以下の音波を低周波音と言います。人間の耳に聞こえるかどうか程度の音ですが、人によっては不安感や圧迫感などの心身症状を訴える方もいます。

どの程度の騒音が発生するのか

騒音レベルはdB(デシベル)という単位で表されますが、非常用発電機のdBは、90~100dB程度。出力によっては100dBを超えるタイプもあります。
非常用発電機の騒音をより分かりやすくイメージするため、他の騒音のdBと比較してみましょう。

  • 扇風機から1m…50dB(通常の会話に支障のない騒音レベル)
  • 掃除機から1m…60dB(大きな声なら会話できる騒音レベル)
  • セミの鳴き声から2m…70dB(かなり大きな声を出さないと会話できない騒音レベル)
  • ピアノから1m…80dB(うるさくて我慢できない)
  • ブルドーザーから5m…90dB(うるさくて我慢できない)
  • 電車のガード下…100dB(聴覚機能に異常をきたす)
  • 自動車のクラクションから1m…110dB(聴覚機能に異常をきたす)
  • 飛行機のジェットエンジンの近く…120dB(聴覚機能に異常をきたす)

非常用発電機から生じる騒音は、「ブルドーザーから5m」「電車のガード下」と同じレベル。タイプによっては「自動車のクラクションから1m」と同レベルの騒音を発することもあります。

非常用発電機の騒音対策

作動時には非常に大きな騒音を発生させる非常用発電機。使用するのは非常時のみとは言え、近隣の方々へ配慮した対策を講じることが必要でしょう。
非常用発電機の騒音対策を行う際のポイントを3点ほどご紹介します。

発電機の周りを騒音対策パネルで囲む

多くの施設で実践している騒音対策が、発電機の周りを騒音対策パネルで囲む方法です。シンプルな方法ですが、非常用発電機の作動時には高い遮音効果を発揮します。

パネルの選定においては、遮音性能だけではなく吸音性能も備えたタイプがおすすめ。吸音性能により反響音を軽減させられるため、より有効な騒音対策につながるでしょう。

騒音レベルの調査も含めて専門的な業者に相談する

非常用発電機は、機種やサイズ等によって発生する騒音レベルが異なります。静音タイプの非常用発電機を設置する際には必要最低限の騒音対策でも構いませんが、100dBを超えるような騒音を発する非常用発電機を設置する際には、実際の騒音レベルの調査も含めて専門的な業者へ相談したほうが良いでしょう。

メンテナンス・点検時の騒音対策も重要

消防法で設置が義務付けられた非常用発電機は、定期的なメンテナンス・点検も義務付けられています。点検する際、実際に非常用発電機を作動させるため、その際に発生する騒音にも注意しましょう。

「点検で騒音が発生したから対策を考える」という順番ではなく、「点検で騒音が発生しないよう、あらかじめ対策を講じておく」という順番が大切です。

【まとめ】近隣には細心の配慮で非常用発電機を使用しよう

非常用発電機から発生する騒音の種類、実際に発生する騒音の程度、非常用発電機の騒音対策などについて解説しました。

非常用発電機は、常時作動しているものではありません。そのため、常時騒音を発生させているわけでもありません。だからこそ、非常時に莫大な騒音が発生すれば、普段とのギャップで近隣の方々は大きなストレスを感じる可能性があります。

もとより、極度の不安や緊張、心身の疲弊に襲われる非常時。近隣の方々には細心の配慮で非常用発電機を使用する必要があるでしょう。

著者
備瀬元博

日本負荷試験テクノ株式会社

営業部 次長

備瀬元博

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