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非常用発電機の重要性と浸水リスク
非常用発電機は、自然災害などによる停電時に電力を供給するための重要な設備です。特に、災害時には電力供給が生命線となります。以下に、その詳細を説明します。
災害時の電力確保が救命に直結
災害時には、多数の救急患者の手当や手術など、電力が必要な医療活動が多く存在します。また、情報収集も重要で、電力がないとスマートフォンの充電などができず、情報収集が困難になります。
非常用発電機は、これらの活動を支え、災害時の電力供給を確保します。しかし、発電機を稼働させるためには、石油の備蓄も重要であり、発電機自体も揺れや浸水に対する対策が必要です。
例えば、令和元年の台風19号では、非常用自家発電設備の浸水被害が発生しました。このような事態を防ぐためには、発電機の設置場所の選定や、浸水対策が重要となります。
具体的な対策としては、浸水リスクの低い場所への電気設備の設置、建築物内への浸水を防止する対策、設定した水防ライン内において電気設備への浸水を防止する対策などが挙げられます。
浸水対策の基本的な考え方
浸水対策は、災害による建物の出入口への浸水を防ぐための重要な対策です。具体的には、想定最大規模の浸水想定だけを対象とするのではなく、より発生確率の高い浸水想定にも着目した上で、対策の対象とする浸水深等を多段階に設定し、事前避難等のソフト面と施設整備によるハード面の両面から水害対策を検討・実施することが推奨されています。
位置選定と設備の移設
位置選定と設備の移設は、浸水対策の一部として重要な役割を果たします。具体的には、浸水深や重要設備の配置、構造物の構造等を踏まえ、電気設備の上階への移設や防水仕様の設備への更新、建物全体の耐水化、重点区画の耐水化を適切に組み合わせ、効率的、効果的に対策を進めることが推奨されています。
防水扉や止水板の活用
防水扉や止水板は、浸水対策として活用されます。防水扉は、通常の出入口扉と同様の使い勝手で非常時のみ防水仕様となる防水扉です。止水板は、浸水を始めとした水害のとき、その水をせき止める役割を果たします。現在、止水板は耐久性を保ちつつも軽量化がほどこされており、扱いやすくなってきています。
浸水対策の具体的なステップ
非常用発電機の浸水対策は、災害時に電力供給を維持するために重要です。具体的なステップは以下の通りです。
- 電気設備の配置:浸水リスクの低い場所に電気設備を設置します。
- 建築物内の浸水防止:建築物内への浸水を防止する対策を講じます。
- 電気設備の浸水防止:設定した水防ライン内において電気設備への浸水を防止する対策を講じます。
ハザードマップの活用
ハザードマップは、津波や浸水の可能性がある地域を特定し、対象建築物の機能継続に必要な建築設備について浸水対策を講じるための重要なツールです。また、地域コミュニティの範囲で整備し、過去の災害履歴や近年の土地改変などを踏まえ、地形分類図で示されるその場所の地形情報と、想定される災害との関係をしっかり把握することが重要です。
災害時の電力確保に不可欠な非常用発電機の浸水対策
非常用発電機は災害時の電力供給の生命線であり、医療活動や情報収集に不可欠です。
しかし、浸水リスクがあり、令和元年の台風19号のような浸水被害を避けるためには、発電機の設置場所選定や浸水対策が必要です。
これには、高い場所への電気設備移設、建築物内の防水対策、防水扉や止水板の使用、ハザードマップの活用などが含まれます。