非常用発電機の設置に必要な届け出とは?

非常用発電機

非常用発電機を設置する際には、いくつかの法律・条例に基づき、多くの届出が必要となります。
ここでは、非常用発電機の設置に必要となる主な届出について、消防法、電気事業法、建築基準法、火災予防条例、大気汚染防止法の規定にしたがってご紹介します。

消防法に関連する届出

消防法の規定で定められた届出を確認してみましょう。
消防法では、消防用設備などの非常電源として利用する自家発電機に関し、防火対象設備などの管理者に対して以下の届出を行うよう義務付けています。

工事整備対象設備等着工届

消防用設備などの設置工事を行う際には、着工の10日前までに、設備などの種類や工事の場所などの詳細を記載した「工事整備対象設備等着工届出書」を提出することとされています。
消防用設備などに関連して非常用発電機を設置する場合には、関係する設備の関係図を添付して届出を行います。

消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届

消防用設備などの設置工事が終了したら、終了の4日以内に、「消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書」を提出します。
消防用設備などに関連して非常用発電機の設置工事も行った場合には、「非常電源(自家発電設備)試験結果報告書」を添付して届出を行います。

危険物貯蔵所設置許可申請

非常用発電機の燃料として、指定数量以上のガス・石油などを貯蔵する場合、または取り扱う場合には、市区町村長・都道府県知事などに「危険物製造所、貯蔵所、取扱所設置(変更)許可申請」の許可申請を行います。
なお、指定数量を下回る(1/5以上指定数量未満)燃料を貯蔵、または取り扱う場合には、代わって「少量危険物貯蔵・取扱届出書」を提出することとなります。

発電設備設置届

発電機の使途にかかわらず、設置型の発電機を置く場合には、消防署へ「発電設備設置届」を提出します。遅くとも着工3日前までには届出を行いましょう。
届出に際しては、発電機の配置や関連設備、単線結線図の添付が必要です。
また、防災目的の発電機を設置する場合には設置する建物の平面図や立面図、設備の仕様書、出力容量計算書なども添付する必要があります。

電気事業法に関連する届出

電気事業法の規定で定められた届出を確認してみましょう。
電気事業法では設備の保安確保を目的とし、一定出力以上の自家発電機を設置者に対し、設備の使用開始前に経済産業大臣へ次の届出を行うよう義務付けています。

保安規程届

発電機の工事や維持、運用に関する保安規定を定め、これを「保安規定届出書」にまとめて提出します。
内燃力発電による発電機を設置する場合は、10kW以上が届出の対象となります。また、ガスタービン発電による発電機を設置する場合は、すべてが届出の対象です。

主任技術者選任届

発電機の工事や維持、運用に関する保安上の監督者として主任技術者を選任し、「主任技術者選任届出書」を提出します。
内燃力発電による発電機を設置する場合は、10kW以上が届出の対象となります。また、ガスタービン発電による発電機を設置する場合は、すべてが届出の対象です。

工事計画事前届

以下の規定に該当する発電機を設置する場合には、工事計画の技術基準に関する審査を受けるため、設備工事を行う前に「工事計画事前届出書」を提出します。
届出の対象は、受電電圧1万V以上の需要設備の附帯設備として設置される非常用発電機などです。

建築基準法に関連する届出

建築基準法の規定で定められた届出を確認しましょう。
建築基準法では、建築確認が必要となる建築物の予備電源として自家発電機を設置する場合、以下の申請を行うよう義務付けています。

建築確認申請

建築確認が必要な建築物に発電機を設置する場合には、設置工事前に、「建築確認申請書」へ発電機の関係図書を添付し、建築主事などへ提出します。
提出後は、建築主事などの審査を受けることになります。

完了検査申請

建築確認申請を行った工事が完了したら、建築主事などに対して「完了検査申請」をして検査を受ける形になります。
検査に際し、各種の試験結果データや検査記録、写真などの提出を求められることがあります。

火災予防条例に関連する届出

火災予防条例の規定で定められた届出を確認します。
火災予防条例では、移動用発電機を除く自家発電機の設置者らに対し、消防署へ以下の届出をするよう義務付けています。

発電設備設置届

内燃機関を原動力とし、かつ固定して運転する発電機を設置する場合には、事前に「発電設備設置届」を消防署長へ提出します。
ただし、気体燃料によるピストン式内燃機関を原動力とし、屋外で所定の外箱に収納されている出力10KW未満の発電機については、届出の対象外となります。

少量危険物貯蔵・取扱届

発電機の燃料として、指定数量の「1/5以上指定数量未満」のガス・石油などを貯蔵したり取り扱ったりする場合には、消防署へ「少量危険物貯蔵・取扱届」を提出します。

大気汚染防止法に関連する届出

大気汚染防止法の規定で定められた届出を確認しましょう。
大気汚染法では、一定の基準に該当する発電機を「ばい煙発生施設」とし、都道府県知事へ設置に関する届け出を行うよう規定しています。

ばい煙発生施設の設置の届出(工事着工事前届)

以下の基準に該当する発電機については、常用・非常用を問わず「ばい煙発生施設の設置の届出(工事着工事前届)」を行います。

  • ガスタービンおよびディーゼル機関燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり50リットル以上の発電機
  • ガス機関およびガソリン機関燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり35リットル以上の発電機

なお、原則として届出を行ってから60日間は工事着工ができません(発電機の使途や提出先機関によっては30日間の場合もあります)。

【まとめ】専門家の助言を仰ぎながら漏れのない届出を

非常用発電機の設置に際して必要となる主な届出をご紹介しました。
非常用発電機は、日常的に使用する設備ではありませんが、有事には多くの人命を救う可能性がある重要な設備です。
くれぐれも法令違反のないよう、専門家の助言を仰ぎながら必要な届出を漏れなく行いましょう。

著者
能又浩一

日本負荷試験テクノ株式会社

営業部 課長

能又浩一

発電機の困った!を解決!緊急対応は24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

関連記事